家族という呪い

これもタイトルに惹かれて読んだ本。「家庭を持って初めて一人前」とよく言われるが、日本で初めて加害者家族支援のNPO法人を立ち上げ千組以上の相談にのってきた著者は、こうした一般論に疑問を呈する。確かに、大切な人(この場合家族)に迷惑を掛けるとか悲しませるとかは犯罪の抑止力になると長い間思われてきたけれど、逆に大切な人に辛い目に遭わされたりすることで犯罪に繋がるケースも少なくない。この本は、家族に縛られることなく一度距離を置いて冷静な判断をしてみようとの内容だ。そこから、新たな人生を始めても良いし、再度家族を構築しても良いと。「普通」とはどういう事か?「普通以上の生活」「普通じゃない」など日常的に誰もが口にするが、つきつめると基準は曖昧にもかかわらず多くの人が囚われている。普通であることとは多数者の価値観や行動に合わせることなので、普通=幸せならば、幸せという評価を多数者の価値観に委ねることなのだと。

一足飛びに行動するのは難しくても、小さいことから始めると良いのかもしれない。世間体を気にせずに自分が何を好きなのか、どんな事で落ち着いたり心地良いのかを自分だけに問いかけて行ってみる。

もちろん、家族だけが犯罪の原因ではないのだが、意外に家族が起因する犯罪は多いのだそうだ。昭和・平成・令和と元号が変わった今でも、昭和中期のステレオタイプの価値観が多くの人の心に根強く残っている。男は強くあらねばとか、妻は夫を支え我慢して当たり前とか、高学歴を手入れれば幸せになれるから勉強しろ、とか。もっと、いろいろな人が居て当たり前だという事を認めていくのが大事だと思った。縛られているのは自分自身の思い込みなのに、そうあらねば普通じゃないと自分や家族に強要してしまう。自分の考えと違うというだけで、相手を虐めたり貶めたり暴力をふるったり。それってオカシイよ。自分と違う人がいることを、ただ認める。たったそれだけ。【ベティ】

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