「生きるぼくら」は、本のタイトルだ。著者は原田マハさん。最近、彼女が書いた本を続けて読んでいる。一番最初に読んだのは「楽園のカンヴァス」。これが面白かった!面白いとは、笑える作品ということではなく、次はどうなるというワクワク感で途中で止められないそれだ。夢中で読んだ。その後、本を手に取る気が薄れた時期があり、本とは超ゆっくり付き合っていた。最近また読む気が出たので、彼女の本から再開したのだが、やはり相変わらず面白い。キュレーター出身の彼女は絵画に関する著書が多いが、それとは異なる作品も多数書いている。どれを読んでも面白く、心にポッと優しい火が灯る。短編集では、前の作品にちょこっと出た人物が次の作品で主役になるリレー形式だったり、何処から読んでも充分に楽しめる短編揃いだったり、と。この作品は、いじめから引きこもりなった24歳男性。頼りだった母に家出され、残された年賀状の束にある祖母の名前を10数年振りに目にし「もう一度会えますように。私の命があるうちに」の文言を読んで4年振りに外の世界へ踏み出すところから始まる。祖母の住む蓼科に向かい、そこで予想を覆す状況に遭遇し、働き・米作りを始め・・・人間的に成長する話だ。息子を引きこもりから脱却させる為に、身を隠した母の深い愛にも気付く。
毎日米を食べて生きる私たちに、米作りの一等最初から懇切丁寧に米作りの基礎を教えてくれる描写に心躍る。米を作ってみたくなる(絶対、無理だけど)お話だ。「生きるぼくら」は読後に「タイトル納得!」と感じてしまう。国語の読書感想文課題図書に指定して、小さい子にも読んでもらいたい。さすれば、日本の農業を毛嫌いする若者も少し減り、食料自給率もあがるのでは?と思った。そこに自分を加えないところが、年取ったオバサンの「もう若くないし・・・」の言い訳が隠れてお恥ずかしい限りだが。日本は美しく(自然も人も)美味しい国なんだな。ぜひ、ご一読を!【ベティ】
コメント